バイクを暮らしに「飾る」〜平屋、土間と深い軒。日本らしい工夫で感じる八ヶ岳の気配

バイクを暮らしに「飾る」〜平屋、土間と深い軒。日本らしい工夫で感じる八ヶ岳の気配

愛知県で43年間、自動車関係の製造業に従事してきたHさん。退職を機に、奥様と八ヶ岳南麓への移住を決断。今年3月に完成した住まいで、2人の新しい暮らしが始まりました。

愛知から山梨、八ヶ岳へ

2年ほど前から土地探しをはじめたとき、真っ先に候補地にあがったのが八ヶ岳南麓でした。

「定年前に、これから住む場所について考えるようになりました。2人とも出身が違うので、そのまま愛知県に残るという選択肢はなくて・・・住みたいところに行きたいねと話をしていて、それならやっぱり八ヶ岳南麓だねっ2人の意見が一致しました」

なぜ「八ヶ岳南麓」だったのか?

「高原沿いの森が多いところを走れる環境。そこが、ものすごく2人とも気に入っていました」とご主人。

「いろんな場所があるんだけど、八ヶ岳が見えて、南を見ると、富士山も南アルプスも見える、東には秩父山脈が見えるという、この景色って多分ここだけだと思います」と奥様。

会社員時代から、キャンプやバイクツーリングが趣味だったご夫妻。とくに、八ヶ岳を週末に訪れるのが楽しみで、何度も訪れるうちにこの土地の魅力に惹かれました。

1,100から1,200メートルという標高、赤松とカラマツの林、澄んだ空気、高原の風。「肌で感じないとわからない部分なんだけど、もう確かにこれはいいっていうのを確信していました」と語るお二人のワクワクするような表情が印象的。

そうして土地が決まると、セカンドハウスではなく、完全移住を前提とした家づくりがスタートします。

「この辺で家を建てるなら、地元の工務店にお願いしたい」と考えていたご主人は、ホームページで木村工務店を見つけてくださりました。納期のこともあり、一旦は依頼を見送られたものの、その後、別の建築士の方を通じて、施工を木村工務店に依頼。「木村さんの施工事例を見ると、私のイメージに近い建物をたくさん作られていたので、ここに施工をお願いしたいと思いました」

バイクを暮らしの中に「飾る」〜魅せる土間空間

最大の特徴は、玄関から土間スペースです。そこにはご夫婦の2台のバイクがディスプレイのように並べられています。リビングから愛車を眺められる設計で、外から土間までのアプローチはコンクリート舗装され、バイクの出し入れやメンテナンスもスムーズです。

「一番こだわったのは、バイクを室内に並べられるようにしたことです。そのために土間を広めに作ってもらい、玄関を観音開きのドアにしてもらいました」

ご主人はバイク歴が長く、奥様も10年以上前に中型免許を取得。今では2人でキャンプツーリングに出かけ、北海道まで走ることもあるとか。

土間は、そんなアウトドア的な暮らしの「基点」にもなっています。広いウッドデッキへと、室内を介さずにつながっているので、キャンプ道具の出し入れもしやすい設計。

外と内をゆるやかにつなぐ空間は、それだけで八ヶ岳の光と風を感じる仕掛けになっています。

「ここに土間があるおかげで、インドアというよりも、すごくアウトドアにいるような感覚になりますね。ウッドデッキの灯りをつけて、夜は家の灯りをパチンと消して、庭キャンプをしました。特別な体験でしたね」

深い軒

そのウッドデッキは深い軒で雨や日差しから守られる格好。

「雨が降ってもまったく影響ないし、夏の日差しは遮り、冬場は日が低くなるとちゃんと光が入ってくる。大正解でした」とご主人、大満足。

土間と深い軒。外の「動き」を内に引き込み、内の「暮らし」を外に開く。そんな日本らしい知恵がこの家には活かされています。

屋根のデザインは、単調にならないよう玄関部分の軒を下げることで建物にメリハリをつけました。外壁は、ガルバリウム鋼板の中にレンガ調の外壁材を部分的に配することでアクセントを生み出しています。

室内は白い壁と木のブラウンのコントラストが落ち着いていながら開放的な空間に。

八ヶ岳南麓の厳しい冬に対応

八ヶ岳南麓の冬の厳しい気候に対応するため、窓は全てアルミと樹脂の複合ペアガラスサッシ。基礎付近の床下や屋根の二重構造の間を空気が循環する空調で、最低限の空調設備だけで、地面や基礎の熱を活かして屋内の気温や湿度を調整します。

敷地の周りには赤松をメインとした林が広がり、野鳥が庭で水浴びをしにやってきます。

朝はご夫婦で1時間以上散歩し、ちょっと坂道を登りながらちょうどいい汗をかく。地元の方から熊スプレーを持つよう勧められたので念のため持っているけど、出会うのはシカとキツネとテンばかり。

「ウッドデッキに座って野鳥を眺めたり、紅葉が変わっていくのを目の当たりにしたりと、ゆったりとした時間が贅沢に感じます」

ご主人が64歳で退職を決めた背景には、「健康年齢」という考え方がありました。「健康年齢が73歳くらいとすると、あと10年ちょっと。同じことを楽しもうとすると、やっぱり短い」

継続雇用の道もありましたが、「70歳でリタイアして、さあと思っても、ちょっと違うよなと思って思い切って決断した」そうです。

奥様も同じタイミングで勤めていた会社を退職し、「せっかくなら住みたい場所に定住する」というお二人の想いが形になりました。

「いままでは県外者。今は『北杜市民特典』で温泉に安く入れるのがうれしいです」